月刊 L&A Network 2026年6月号の概要

はじめに

「寝不足は、いつか寝だめで解消できるな」と筆者は勝手に思い込んでいたが、その[単る睡眠不足]と言う思いが、時には健康に重大な影響を与えるばかりか、日常・社会生活や経済活動にも影響を与える重要な問題であることを知った。。

良い睡眠の研究の為に、睡眠学は2002年に日本学術会議によって創設された。睡眠学は、私たちが日常的に経験する睡眠と覚醒のメカニズムを研究し、その心理的・社会的・生物学的意義を明らかにする事が目的である。

筑波大学の国際統合睡眠医科学機構の柳沢正史教授のホームページの初めにある言葉の概要は、次の通りである。

「睡眠覚醒調節の根本的な原理、「眠気」の神経科学的な実体と、なぜ我々は眠なければならないのかが全く分かっていない。この現代神経科学最大の謎を解き明かしたいと考えている」と書かれていた。ここでは、睡眠障害だけでなく、覚醒障害についても言及されている。 筆者たちの仲間もこの睡眠障害・覚醒障害については、IT機器とAI(人工知能)を用いて、眠気が襲う前に運転者にアラームで教える実証実験を行っている(2025年11月号で紹介の企業の[アドダイス]社)  夢をみる脳の仕組みを考えてみると、学者が言うように、脳は寝ているときに休んでいるだけではないことは理解できた。

<あたたかい手 ― AAL支援チーム(12) 知的障がい者への支援>

<5月号迄のあらすじ>

オリーブでは、就労継続支援Bの全員が施設オリーブにいるときには健康見守りシステムの利用者になった。職員は自己管理で腕時計タイプ及び指輪タイプセンサーの充電をおこなっていたが、就労継続支援Bは帰宅の際に指定された箱に、その日に利用していた腕時計タイプ及び指輪タイプセンサーを返却していた。ある日、黒田は指輪タイプが一つ足りない事に気づいた。石原さんが指輪タイプを着けたまま帰宅してしまったらしい。それと、キャサリンが指輪に愛着を感じて「ずっと着けていたい」と言っていたことにも気になっていた。更に彼らの家族からも「在宅の時にも健康管理をしてもらいたい」との要望が届いていたことから、黒田は西山と真理子に相談した結果、電池が持つ間は彼らに持たせても良いのではないかと言うことになった。ただし彼らの家とオリーブの往復の間は、データが取得できない問題は今後の課題として残した。 当分試行錯誤が予想されることから、キャサリンに、まず利用者になってもらうこととし、家族説明会をもつことになった。

<キャサリンの家族との話し合い>

秋本施設長に案内されて、キャサリンの両親、3歳上の姉とキャサリン、施設側は、施設長、真理子、西山、それに平次が会議室の席に着いた。

キャサリンの父は「次女は生まれたときに心臓に問題がありました。先天性心疾患で心室中隔欠損(VSD)でしたが、その後の手術で、現在は元気にしております。しかし、親としては、多少心配しておりまして、今回の見守りシステムの話で、娘の体調を見守っていただけるのは、とても有難く感じております。それで、今回は家でも利用可能なのですね」と言うと、平次が 「ご家庭に指輪タイプセンサーからのデータを受取り、ホストコンピュータに送るためのエッジコンピュータと言うものを設置して頂くことになります。それとインターネットに繋ぐためのWiFiがあることで、すぐ運用が可能となったことを平次は確認した。センサー機器の取り扱い、運用費用やプライバシーについての背説明があり、キャサリンだけではなく、家族全員で、このシステムの利用者となった。 オリーブでの健康見守りシステムは順調に稼働していくように見えたが、一つの問題が起きていた。 [続く]

おわりに

 何かを最初に社会に送り出すのには、結構なエネルギーと時間がかかることである。今回のように国際規格の制定から実証実験、普及の段階となるが、社会の要請が無いと普及が進まない。ICカードでも20年以上かかった。筆者が、このように導かれるまま今も活動を続けているのは、[健常者が便利に利用しているIC カードが利用できない障がい者、シニア等がいる]ということに気が付いてしまったことであった。そこで、そのような人々への[機器操作支援方法]の国際規格ISO/IEC 12905 (Enhanced Terminal Accessibility: ETA)を制定した。 更に2014年行われたIEC(国際電気標準会議)東京大会で、シニア等の日常生活をITで継続的に支援するActive Assisted Living (AAL)の講演会の講師として筆者が招かれ、テーマとして[AAL のアプリケーションの中でAIとのコミュニケーション支援にETAを使ったモデル]の提案を行った。そんなこともあり、AALの普及活動にも加わることになった次第である。

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