序章 ETA 利用ガイドラインについて

第1.1版

2019-11-14

一般社団法人ETA・AAL推進協議会

序 ETA利用ガイドラインについて

この「ETA利用ガイドライン(仮称)」は、次の3部で構成されている。

第1部   ETA利用の概要

第2部   ETAのアプリケーション・機器等への利用例

第3部   支援リクエスト情報と入出力フォーマットと利用例

1.1 はじめに

 ETAは、Enhanced Terminal Accessibility using cardholder preference interface(端末利用時のアクセシビリティの向上)の略称で、「ATMや券売機などの端末機器を利用する時に各人の状況に合わせて操作し易くなるような支援についての仕組み」のことである。

現代社会に於いて、銀行のATM/券売機や公的な場所の情報端末機器 、家庭の電気製品などに至る迄、多少は改善されているものの、その多くが画一的な操作方法になっており、ある人々(シニア、障害者、外国人等)にとっては、それらの利用に大変苦労しているか、或いは利用できないという問題が起きている。

一般的な人の意見の傾向としては、「多くの人が、機器の現状の使用方法に満足しているので、少数の人のために操作方法の改善のための開発費用などをかける必要はない」と、言い切る方も多い。

しかし、誰でも先に述べた「ある人々」になる可能性があり、そこで初めて機器の「一般的な操作方法の使いづらさ」に気付くのかもしれない。この種の問題では、「傍観者効果」という事には、我々自身も注意して進めて行く必要がある。

ここでは、これらの課題を解決するために次の4つの事を考えて行く必要が有る。

① 個人毎に、その機器の使い易い操作方法が異なる。

② 機器の操作方法の変更に開発費の低減化

③ 社会のインフラとして長期間、共通の仕組みとして利用可能な標準化がベースとなっている事。

④ プライバシーの保護

 

これらの4つの課題を解決するのが、これから述べるETAを利用する方法である。

① 個人毎に、その機器の使い易い操作方法が異なる

 利用者が、その機器利用にあたって支援して欲しい要求(支援リクエスト情報と呼ぶ)を、あらかじめカードに登録しておくか、或いは、利用者の識別子(ID)で紐付けされた支援リクエスト情報をクラウド等に置いて、機器利用時にその支援リクエスト情報を呼び出し、機器に通知し、機器側がその要求を認知し、機器自身の可能な機能を用いて、その人の要求になるべく合うように操作の支援を設定し、以降のアプリケーションの操作をスムーズに行うという仕組みである。

 なお、この様に一人一人に使い易い機器の操作性の実現では、結果的にシニア、障害者、外国人等を含む全ての人に使い易いものとなることを目指している。

② 機器の操作方法の開発費の低廉化

 障害者基本法第4条に「第2項:社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止、社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定(障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止)に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。」とある。

 「実施に伴う負担が過重でない」という言葉の解釈には、難しい問題があるかと思いまうが、ETAでは、その殆どがソフトウェアで可能となっており、過去の改善策のようなスイッチを取り付ける等の操作パネルの作り直しなどが必要なく経済的に実施することが可能である。

③ 社会のインフラとして長期間、共通の仕組みとして利用可能な標準化がベースとなっている事。

 ETAの国際規格は、ISO/IEC 12905:2011 “Enhanced Terminal Accessibility using cardholder preference interface” で2016年に途中のAmendment(修正)を加えてConfirm(継続承認)されている。また、その国際規格の翻訳版である国内規格JIS X 6905: 2013「 IC カード−情報端末の操作性を向上させる カード所持者優先情報」が制定されている。尚、JIS版では、国際規格の修正版を含んだ規格となっている。

④ プライバシーの保護

 ETAの支援リクエスト情報は個人情報の一種かもしれないが、障害そのものをコード化することは前述の規格の中で禁止されている。利用者が機器の利用時に支援してもらいたい事柄を、その機器に「支援リクエスト情報」をコード化して伝える。一般的に個人情報は、それを開示する相手に特定してあらかじめ合意された何らかのセキュリティ要件が必要となるが、それは、開示する相手を特定してプライバシーを守る行為である。しかし、ETAの持つ意味は、個人が誰に対しても支援してもらいたいという情報であることに目をとめてもらいたい。従って、支援リクエストを登録・変更・削除に於いては、セキュリティ要件があっても良いが、読出し時は、原則フリーとする。

1.2 ETA利用ガイドラインの目的及び要件

 

  1. 国際/国内規格を実際に利用する場合に、規格の内容が分かりにくい部分を分かり易く説明する。特にETA対応機器やアプリケーションについての記述が少ないため、実際の利用に必要な事項や運用に関する事項を追加する。
  2. ETAと同じような目的で、開発される幾つかの方式も考えられる。例えばスイッチなどで支援項目を選択する方法があるが、その利用者に適する支援の為にいくつのスイッチを設ければよいのかは、設計することや利用者の事を考えると、中々納得の出来るものの製品化は困難である。また、製品ごとに異なる操作と言うのは、利用者も戸惑ばかりか個々の開発にかけるコストも大きな問題となる。ETAでは、この問題に対処して、国際/国内標準規格化によるメリット、すなわち、共通の規格仕様による利用者の取り扱いの共通性と利便性、製品の開発の効率化と市場への継続的な供給による量産効果と経済性、社会インフラとしての役割を担う安定性等があげられる。本ガイドラインでは、ETAの様々な利用場面を想定して、開発の手引書の役割を目指す。
  3. 支援リクエスト情報は、リロケータブルなBER_TLV(識別子-長さ-値)のデータ要素で示され、互換性を保つために、この規格で規定されているもの及び他のISO規格、例えばISO/IEC 7816-5(JIS X 6320-5. 共通データ要素)に規定するものを使用している。ただし6種までのその国や機関で利用される特有な支援リクエスト情報を指定されたフォーマットのエリアに追加して利用することが可能である
  4. 支援リクエスト情報は、特定のメディアに依存することなく利用することが可能な様に、格納方法の規定はなく、支援リクエスト情報の入出力フォーマットだけが定められている。従って、このガイドラインでは、第3部に幾つかをフォーマット例として記載する。
  5. ETA対応の機器側で、どのように支援リクエスト情報を解釈して、利用者の便宜を図るかは、余り詳細には触れられていない。それは、アプリケーションによって、端末の形状や利用方法が異なることから、基本的な要件を記しているだけである。 
     このガイドラインでは、アプリケーションのユースケースをもとに、多様なアプリケーションの具体的な利用方法の説明を試みる。
    なお、これからの時代、支援リクエスト情報をメディアの中に支援リクエスト情報を登録するだけでなく、クラウド上に置いて利用する事も進むことから、これらの利用方法についても説明をする。
  6. 新技術の登場などの時代の要請及び、普及するにあたっての追加的な要素、例えば、利用者の飲食の課題(アレルギー、ベジタリアン対応支援リクエスト情報)等は、規格での規定はないが、アプリケーションの利用に差し支えの無いように、関係機関との協調により取り決める事を考慮する。
  7. 障害のある方の生活文化を尊重することは、大変重要である。前述では「すべての人に便利になるように」と書いたが、それらの生活文化の違いを理解してサポートを考えることは容易ではない。実際の利用者である当事者の利用困難さ等のご意見を尊重し、ご教授頂きながら、具体的な解決方法を共に考え、このETA利用ガイドラインに反映することとしたい。最初は、ある範囲の方だけの対応になるかもしれないが、少しずつでもその範囲を広げて行けるような仕組みと、これに関係する人々のお知恵とお力を拝借致したい。

2. 各部の内容について

2.1 第1部         ETA利用の概要

第1部では、ETAの規格の概要と簡単な利用場面の説明を行う。

IT機器などの利用が日常生活や社会生活に入り込んでくる。それらの機器がどんどん高機能になるのに反して操作がシニアや障がい者にとって容易なことではなく、せっかく便利なものも利用に躊躇することがある。或いは、それらの機器が使えると言っても、なんとか時間をかけて頑張れば「使える」というのと、ストレスなく「楽に使える」という差は、決して小さなことではない。

ETA(支援リクエスト)の普及の必要性は、人間と機器の間のコミュニケーションをスムーズにして、「楽に使える」を実現するばかりか、人間と人間の間の意思の疎通をも良くし、今迄制限されていた日常生活を豊かにし、又、社会参加の機会をも増やすという社会インフラの整備と言う意味合いもある。海外観光客へのおもてなしの多言語化だけでなく、国内外の障がい者に利用しやすくすることや超高齢者社会という時代に備えてETA対応機器の利用・普及を願っている 。

2.2 第2部 ETAのアプリケーション・機器等への利用例

 第二部では、ETA利用の基本的な要件を「アプリケーション・機器等への利用例」として述べる。まず、「1. 利用者ETA支援リクエスト情報の選択方法」で利用者が自身で、機器一般に対して、どのような支援を望んでいるかという事から支援方法を選択し、カード内か、インターネットのCLOUDに登録する方法について説明する。

次に「2. ETA-CLOUD サーバー(仮称)システムの提案」では、「ETA-CLOUDシステム(仮称)」での実際の運用についての提案が説明されており、カード内に支援リクエスト情報を登録するよりもCLOUDに登録するほうが、さまざまなアプリケーションに共通にETA支援リクエスト情報が効率的に有効に利用できる提案を説明する。

 更に「3. ETAのユースケース」 (1)では、カードに登録する支援リクエスト情報をスマートフォンに登録する方法と第一部 「ETAの利用例」(4) 2014年11月 IEC東京大会実証実験 スマートフォン対応)仕様例」では実際の仕様概要を説明する。

(2)「ETAと関連する国際標準化におけるユースケース」では、ETAとの連携を図るために次のグループの作業を紹介する。その後、当法人発足時の名称が「ETA・AAL推進協議会」となり、AALの普及促進についても事業内容に入れられている。

・Active Assisted Living(AAL) 日常自立生活支援 附属1 参照

・GPII(Global Public Inclusive Infrastructure)附属2 参照

第3部   支援リクエスト情報と入出力フォーマットと利用例

このガイドラインの第3部は、ICカードにその所持者の支援リクエスト情報を符号化したデータ要素として登録する方法、また、端末がそのデータ要素を読みだす例について説明する。

 実装するにあたっては、前もってJIS X 6905:2013(ISO/IEC 12905:2011)を読んでおくことが重要である。このガイドラインは、日本規格協会の当該規格からの引用部分利用のご承認を頂いているが、5年ごとの定期見直しもあることと、実装するにあたって最小限留意すべき事項を記載し、理解しやすくするために原規格には無い用語や説明用の語句が追加されている場合もあるのでご注意願いたい。

なお、技術者がこのガイドラインを用いてETAシステムを開発する時に、当該規格の最新情報や具体的な実装等では、我々の支援が必要と考えている。従って、継続的な御連絡等の為、第三部は、必要な方のみの配布として、別途、取扱窓口担当者名、御連絡方法などを頂いて標準化推進の混乱を起こさないようにと考えている。

参照規格: JIS X 6905:2013 (用語及び定義及び記号及び略語は、この規格を参照の事)

附属1. 序 ETA利用ガイドラインの概略について

附属2.ETA( Enhanced  Terminal  Accessibility  using  cardholder  preference interface )の概要

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