心理学を学んでいます
2020-08-24 寄本義一
私は現在、放送大学の教養学部/心理と教育コースを受講する学生である。
以下にまとめているのは、言わば学科のレポートのようなものであるが、私にとって必要な知識である。
心理学を学ぶにあたって、まず先生から言われたのは、心理学は、人の心が読めるようになるという目的の学問ではなく、人生の精神的な苦難にあっている人々の問題を一緒に考え、科学的な裏付けがある解決方法を用いながら、その人の難局から脱出することができるように支援するものである。決して、テレビのバラエティ番組で行われる、人の考えていることがわかると言うようなゲームとは違う、と言われた。確かに学んでいると、人の心を理解することの難しさを一層、感じることになった。まだ、学び始めて2学期を過ぎたばかりで、まだまだ、学ぶことが多いし、だんだん面白くなってきたところである。
コミュニケーションについて
私たちの事業の一つに、コミュニケーション支援ということがあるが、それでは、コミュニケーションとは、どういう意味があり、働きがあるのかをもう一度確認しておきたい。
コミュニケーションという言葉の定義は、大変難しいが、ここでは、次のように考えてみることとする。
- 用語の定義
コミュニケーション: メッセージ(相手に伝わる内容や意味のこと)の授受、交換による動的な相互作用の過程
- コミュニケーションの特徴
- コミュニケーションの象徴性: 内容面/関係面(互いがどういう関係にあるかによって話の内容・話し方が変化する)こと。
- コミュニケーションの不可避性(One cannot Not communication): コミュニケーションは、言語だけではない。互いの服装、態度、動作も含まれる。一度、相手に発したコミュニケーションは、コミュニケーション学では取り戻せないこととしている。
- コミュニケーションの先行性: 各人の人生経験・習慣に基づいた考え方が脳に蓄積されていることによって、相手の言語・非言語コミュニケーションを考えることや、判断に用いること。
- コミュニケーションの環境と心の影響性: 周囲の騒音による声の大きさ、高さ、初対面か既知の間柄か、時間に余裕がある時か、心理的に余裕がある時か等。
- コミュニケーションの表現型
言語(話し言葉)/非言語(目線や態度等)
音声(話し方、声の大きさ、高さ、スピード、アクセント等)/非音声(文字、手話)
- 非言語・非音声コミュニケーションとは、ジェスチャー、視線、態度、話の間の取り方などがある。
- コミュニケーションモデル
1対1のコミュニケーション(AからBへのコミュニケーション)
- AからBに発したメッセージ(内容、意味すること)表現がBによって解読/解釈され、Aの考えや感情が判断される。(コミュニケーションが成立する)
- 自己フィードバック: 相手にメッセージを送る前に自身で、そのメッセージを精査することや、話し方の表現を選ぶこと。(個人内コミュニケーション)
- AからBに発したことのメッセージが相手に伝わらない。
- コミュニケーションを阻害する要因としては、次のものがある。
- 周りの騒音のためにお互いの話が聞き取れない
- 相手が上の空で聞いている
- 相手に伝えたい言葉の表現が見つからないので、自身の言いたいことが言えない
- 相手からのメッセージの意味が、自身の文化圏の違いや能力によって判読できない。相手が何を言いたいのかわからない。
- 相手からのコミュニケーションが理解できた場合でも、本人がそのことを許容できない
- コミュニケーションの背後にある、その人が暮らしてきた国や地域の文化によってコミュニケーションの成立に大きく影響されることがある。
- 例えば、日本では何か困っている友人を助けることが一般的には、良いことであると考えられているが、ある国では、そうすることは、その友人の自立を阻害することであると考えることもある。同じ文化で育った間柄では、ほとんど問題がないが、コミュニケーションをとるときには、この文化の違いについて配慮が必要である。話は、少し違うが、私の家にも外国人が来られて何日か泊まっていかれる場合がある。特に日本に到着した夜など、お風呂に入るように勧めると、ほとんどの外国人は「今日は疲れているから入らない」と断られた。日本人は、疲れているからお風呂に入って、リラックスして眠れるという考えなのだが、彼らには、体を洗うこと、だけなのかもしれない。
- このように、文化の異なる地域に住む人の集まりでは、メッセージの共有化が成立していないかもしれないことに注意する必要がある。
- コミュニケーションの背後にある、その人が暮らしてきた国や地域の文化によってコミュニケーションの成立に大きく影響されることがある。
- コミュニケーションを阻害する要因としては、次のものがある。
- コミュニケーションの種類
- 次は、すべてコミュニケーションに含まれる
- 伝えたい意思をもってメッセージを送り相手に伝えられる
- 伝えたい意思をもってメッセージを送るが相手に伝わらない
- 伝えようとしないこと(非言語:態度、表情、服装など)でも相手に伝わってしまう
- 次は、すべてコミュニケーションに含まれる
注) コミュニケーションがない: 相手に伝えたい意思もなく、その相手もその人から何も影響を受けないこと
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ユニバーサルデザイン・情報のアクセシビリティなどについてのおさらい
私たちの事業の基本となるこれらの用語は、皆さまは、既に良くご存じの用語ばかりですが、改めて事業を進めていくときに共通のご理解といたしたく思い、まとめさせていただきました。
各人、様々なご意見がおありかと思いますが、どうぞ、ご遠慮なくブラシュアップを、お願いいたします。
- 用語の定義
・ユニバーサルデザイン
年齢、性別、能力等によらず、できるだけ多くの人々が使えるように、最初から考慮して、町、物、情報サービス等をデザインするプロセスとその成果
・バリアフリー
現実に不便さの原因となっているバリア(壁) を取り除こうという考え方
・アクセシビリティ
「近づきやすさ」「利用のしやすさ」
・情報のアクセシビリティ
視覚、聴覚などの障害者、訪日観光者、在日外国人などに対する情報伝達のしやすさ。
- ユニバーサルデザインを支える概念
・人権(Human Rights)
異なる年齢、性別、障害のある・なし、文化、言語、肌の色を問わず、すべての人々が、生まれながらにして、かけがえのない価値をもち、一人ひとりが、皆、人間らしく生きる権利。
多様性(Diversity)
多様な人々の多様な価値観、多様な働き方、多様な生き方などの違いを認め、尊重すること。
注意) このような多様性がある人々と、何らかの利害が生じる場合など、どう折り合いをつけて共生していくかが課題
参考文献
放送大学 教養学部 心理と教育コース コミュニケーション学入門(‘19) 第1回
放送大学 教養学部 心理と教育コース 情報社会のユニバーサルデザイン(’19)第1回