第三部 支援リクエスト情報と入出力フォーマットと利用例
「ETA(支援リクエスト情報)利用ガイドライン」
第3部支援リクエスト情報と入出力フォーマットと利用例
第1.1版
2019-11-14
一般社団法人ETA・AAL推進協議会

目 次
1. 適用範囲
2. 概要
2.1 ユニバーサルカード所持者情報(UCI)
2.2 UCIの扱い
3 UCIの登録方法とアクセス方法
3.1 グローバルUCI及びローカルUCI
3.2 タグ“65”のDO
3.3 グローバルUCIのICカードへの実装
3.4 UCIの中で使用される構成要素
3.5 ローカルUCI の実装例
3.5.1 ローカルUCIで指定される主なデータ要素
3.6 一般的UCIデータオブジェクト
4. UCIを読むための手順
4.1 コマンド実行例
4.2 UCI_DFに存在するグローバルUCIを読むための手順
4.3 続けてアプリケーションDFに存在するローカルUCIを読むための手順
4.4 実行シーケンス例 (正常系のみ)
附属書 1 この規格で利用するデータ要素
附属書 2 支援リクエスト情報仕様
附属書 3 支援リクエストデータ要素の設定例
附属書 4 実装例1
附属書 5 実装例2
附属書 6 2014年IEC東京大会実証実験に用いたカードの実装例
附属書 7 JIS X 6319-4準拠ICカードでの実装例
附属書 8 支援の種類ごとの支援リクエスト情報
附属書 9 支援の種類ごとの集合(プロファイル)
1 適用範囲
このガイドラインの第3部は、ICカードにその所持者の支援リクエスト情報を符号化したデータ要素として登録する方法、また、端末がそのデータ要素を読みだす例について説明する。
実装するにあたっては、前もってJIS X 6905:2013(ISO/IEC 12905:2011)を読んでおくことが重要であるが、このガイドラインでは、実装するにあたって最小限留意すべき事項を記載する。また、理解しやすくするために原規格には無い用語や説明用の語句が追加されている場合もあるのでご注意願いたい。
参照規格: JIS X 6905:2013 (用語及び定義及び記号及び略語は、この規格を参照の事)
2 概要
2.1 ユニバーサルカード所持者情報(UCI)
データ要素の組合せ情報を、ユニバーサルカード所持者情報(UCI)と言う。
UCIは、その情報をカード所持者によって選ばれ確認され、この規格で規定するフォーマットを用いてカードに登録される。
UCIには、グローバル及びローカルの二種類が存在する。 グローバルUCIは、ICカードの全てのアプリケーションに共通で、ローカルUCIは、アプリケーション毎に用いられ、ICカード内の各アプリケーションファイルに存在する。
グローバルUCIは、すべてのアプリケーションを選択する前に読まれる必要があり、ローカルUCIは、そのアプリケーションの選択直後に読まれる必要がある。
UCIは、
- 特定のシステム又は端末から独立していることが望ましい。
- 常に読出し可能でなければならない。
2.2 UCIの扱い
- UCIを構成するデータ要素の内、言語情報は必須でそれ以外は、カード所持者が自由に取捨選択可能である。このデータ要素の変更は、カード所持者の許可を得なければならない。
- データセット要素のフォーマットは、この規格で規定されるとおりでなければならない。
- 証明書又はデジタル署名はオプションであり、データセット要素の信憑性と完全性を保証するために用いても良い。
- このデータセット要素は、ISO/IEC 7816群及びその翻訳であるJIS X 6320群に適合しているICカードに限らず、他の仕様のICカードがこの規格に関する規定 (登録フォーマット及び支援リクエスト情報群を用いる)に対応するなら、そのカードに実装されてもよい。
- 端末は、原則カードに格納されたデータ要素又はデータオブジェクトを保持してはならない。
- ➢注 この規定の根本の考えは、第3者に、ある個人の支援リクエスト情報が洩れプライバシーを犯すことが起こらないようにとの配慮による。したがって、この規格では、言及されていないが、ある特定のクローズドなエリアにカード所持者がいる場合、システムはその者の支援リクエスト情報を保持して、何度も支援リクエスト情報を読み出すことを回避する場合、このクローズドなエリアから、カード利用者が退場した時、又はある一定の時間が経過しても利用が無い場合には、その支援リクエスト情報は消去されなければならない。
- このデータ要素のセットは、個人を識別する目的に使用しない。
- このデータ要素のセットは、個人情報の入っていないカードで使用されてもよい。
- このデータ要素は、カード所持者の障害をそのままを記述しない。
3. UCIの登録方法
UCIデータセットは、BER-TLVフォーマット構造化データオブジェクト(DO)の連鎖としてア
クセス可能とする。これらのデータオブジェクトは、EF.ATR/INFOに格納されても良いし、こ
こで示すUCI特定のAIDを持つDF、或いは、4.に示すアプリケーションDFに格納されても良い。
また、ISO/IEC 7816に準拠しないICカードなどでは、特定のアプリケーションで指定されたエ
リアに格納されても良い。
3.1 グローバルUCI及びローカルUCI
グローバルUCIは、この規格に適合する全ての実装に対して必須でなければならない。 さら
に、アプリケーションファイルは、各ローカルUCIのアプリケーションに特有のユーザ支援リク
エスト情報を含んでもよい。図1にグローバルUCI及びローカルUCIを示す。

図1 — グローバルUCI及びローカルUCI (JIS X 6905:2013 図1から引用)
3.2 タグ“65”のDO
タグ“65”のDOはグロ-バルUCIのペアレントDOであり、ICカードの初期化後又はアプリケ
ーションの実行前に選択されアクセス可能となる。
グローバルUCIの主なデータ要素を図2に示す。

図 2 — グローバルUCIで指定するDO(JIS X 6905:2013 図2から引用)
3.3 グローバルUCIのICカードへの実装
この規格では、グローバルUCIの格納場所をEF_ATR/INFO、又はDF名“E8 28 E4 69
00”のDFとしている。
いずれにしろグローバルUCIの先頭タグである”65”から始まる構造化DOのデー
タ要素を格納し、それを読み出す場合には先頭タグである”65”探し出せばよい。
ただし、EF_ATR/INFOは、透過ファイルであり、そのICカードに特有な他のパラメ
ータも入れられる可能性があることから、メンテナンスを考えると、この規格のDF名
のDFを作り、その中にタグ”65”から始まる構造化データ要素を格納すること良いと
考える。
3.4 UCIの中で使用される構成要素
UCIの中で使用される構成要素を表1に示す。
表1 - UCI構成要素 (JIS X 6905:2013 表1から引用)
表1 - UCI構成要素 (JIS X 6905:2013 表1から引用)
名称 | タグ | 内容 | グローバルUCI | ローカルUCI |
グローバルUCI | “65” | UCIペアレントDO | M | – |
優先言語 | “5F2D” | JIS X 6320-6及びJIS X 0412-1によるカード所持者優先言語、4言語まで指定可能 | M | – |
タグ割付け機関及び当該機関固有のカード所持者支援リクエスト情報 | “68” | 次のタグ割付け機関のうち一つを選ぶ。 “06” OID “41” 国番号 “42” 発行者識別番号 “4F” RID 及びこの機関が示すカード所持者支援リクエスト情報を含むテンプレート | M 注) もし、当該機関固有のカード所持者支援リクエスト情報が無ければ、 “68”はMである必要ない。「Conditional M」 を国際の場に提案予定 | O |
タグ割付け機関によるカード所持者支援リクエスト情報 | “70”~ “77” “73”を除く | タグ割付け機関により定義された非共通DOは、タグ割付け機関を識別するDOによって、タグ “70” ~“72”及びタグ“74” ~“77”のDOテンプレートに格納しなければならない | O | O |
カード所持者支援要求事項-必要機能 JIS X 6320-6は、カード所持者支援リクエスト情報-必要機能 | “7F22” | 装置などに対応して欲しい機能を示すカード所持者支援リクエスト情報のデータ要素(複数の設定が可能) | O | O |
カード所持者要求事項-除外機能 JIS X 6320-6は、カード所持者支援リクエスト情報-除外機能 | “7F23” | 装置などに対応して欲しくない機能を示すカード所持者支援リクエスト情報のデータ要素(複数の設定が可能) | O | O |
ここで、Mは必須を、Oはオプションを意味する。
3.5 グローバルUCIの実装例
グローバルUCIをDFに設定する実装例(JIS X 6905:2013 表4から引用)を示す。
アクセス規則は、DFのセキュリティ環境で次のように設定する。
読出: 常に可能とする。
書込/更新: 発行時は、発行者のパスワード等
利用時は、カード所持者パスワード等

タグ | 長さ | 値 | ||||||
“65” | 可変 | グローバルUCIデータオブジェクトのルート | ||||||
タグ | L | 値 | ||||||
“” | “5F2D” | 可変 | 言語 (最大4) 言語1から2,3,4の順で優先される。 | |||||
言語1 | ||||||||
言語2 | ||||||||
言語3 | ||||||||
言語4 | ||||||||
“68” | 可変 | タグ割付け機関及び当該機関固有の支援リクエスト情報 | ||||||
タグ | L | 値 | ||||||
“06” | 可変 | OID | ||||||
“70” | 可変 | タグ割付け機関による支援リクエスト情報1 | ||||||
“71” | 可変 | タグ割付け機関による支援リクエスト情報2 | ||||||
“7F22” | 可変 | 支援リクエスト情報-必要情報(複数設定可) | ||||||
タグ | L | 値 | ||||||
T1 | L1 | V1:支援リクエスト情報-必要情報1 | ||||||
T2 | L2 | V2:支援リクエスト情報-必要情報2 | ||||||
T3 | L3 | V3:支援リクエスト情報-必要機能3 | ||||||
“7F23” | 可変 | 支援リクエスト情報-忌避情報 (複数設定可) | ||||||
T1 | L1 | V1:支援リクエスト情報-忌避情報1 | ||||||
T2 | L2 | V2:支援リクエスト情報-忌避情報2 |
注 もし、「支援リクエスト情報-必要情報」と「支援リクエスト情報-忌避情報」とに同じタグ値の支援リクエスト情報が存在する場合には、「忌避情報」をとしての扱いを優先する。
以下省略
以降の情報が欲しい方は問合せください。検討します。