2024年4月号概要
はじめに
筆者の若い頃の会議で苦い思い出がある。「直ぐに取り組むべき課題」として、個人的には、かなり丁寧に説明し、提案をしたつもりであったが、その提案は会議参加者の賛同が得られなかった。今回は、その失敗の経験を通して、筆者の願いを書き留めたい。
すぐに取り組むべき課題とは
すぐに取り組むべき課題とはMカードにETA(誰でもが使用しやすい機器操作となるように支援する)の早期利用の実現である。
「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」
2022年5月に 障害に応じて情報を得る手段を選択する事や、時間差なく必要な情報を得たりできるように、国に法に基づく対応や財源確保を義務づけた。
この法律の実行にあたって配慮して欲しい事
個々人の支援要求を満たす方法について配慮して欲しいと考える。「視覚障がい者と聴覚障がい者は、共に情報障がい者でもある」と言う点にも注目して支援を考えていく必要がある。
視覚障害者の支援のために
視覚障がい者というと、まったく見えない人と思われがちであるが、障害者手帳を所持しているうちの約38%であり、ロービジョン等の方が多いことから、支援の方法を、それらの人の要求に合わせる必要がある。
聴覚障害の支援のために
聴覚障害者のうち、ろう者の定義は多義的である。音がほとんど聞こえないか識別困難で、主に手話を使って生活する聴覚障害者をいう。しかし、軽度聴覚障害者であっても、生活に困難を感じる程度が比例するとは限らない。重度聴覚障害者とは異なった点で不自由を感じていても、障害者手帳という客観的な書類がないために合理的配慮を申し出ることができないケースもあると言う。
障がい者の機器利用時の支援について
誰でもが歳を重ねて、視力が衰えて良く見えづらい事や、聴力が衰えて聞こえづらい等、機器を使うのが困難になり誤操作に悩む方が増えてくる事が想定される。しかしながら、近未来では、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術、通信技術を使ったコミュニケーション )に頼る事が増えてくるかも知れない。
機器利用のコミュニケーション障がいは、社会的障壁でおこる?
コミュニケーション障がいは、社会的障壁によって、生きづらさが生じるのと同じ事で、海老原宏美さんは、例えば「お店の前に階段が有り、車椅子では入店出来ないと言う様な状況があった場合、スロープを付ける事で入店が可能となったという支援が出来れば、それは、社会的障壁ではなくなり, その障害はないのと同じになる。」と言う事である。
機器を介したコミュニケーションにも「スロープ」を
そこで、機器を利用するコミュニケーションにも「スロープ」の様なものを付ける事を考える必要がある。
筆者はETAが、そのスロープの役割を果たす仕組みであると考えている。
ここでは、スロープの役割を実現するための仕組みに必要な次の4つの事を考えてみる。
- 個人毎に、その機器の使い易い操作方法が異なる。
- 機器の操作方法の変更に開発費の低減化
- 社会のインフラとして長期間、共通の仕組みとして利用可能な標準化がベースとなっている事。
- プライバシーの保護
ETA利用ガイドラインを発刊
2020年にJISC(日本産業標準調査会)からJIS X6905の部分的な利用の許可を頂き、ETAの利活用を「ETA(支援リクエスト情報)利用ガイドラインにまとめた。
おわりに
今回は、カード側の事のみ説明したが、もちろん機器側の対応が必要である。