視覚障がい者も一緒に遊べるタブレット型の共遊玩具を
視覚障がい者も一緒に遊べるタブレット型の共遊玩具を
2020年6月3日 東京新聞朝刊記事 タカラトミーの高橋玲子様の掲載記事より
「共遊玩具と歩んできた高橋さんも、タブレット型のおもちゃが増えている課題に向き合っている。「見えない子か取り残されないようにタブレット型の共遊玩具を早く届けなければ」。少しの工夫が不自由な思いをしている子ともたちに笑顔をもたらす。高橋さんはそう信じて知恵を絞る。」
数年前、高橋様から「視覚障がい児がタブレット型のゲーム機の対戦ゲームで、めちゃくちゃにスイッチを押して、偶然あたって音が出るのを喜んでいた」という話をお聴きした。「みんなが当たり前に出来る事が出来ない子供をなんとかしてあげたい」という高橋様の思いは、そのころから持たれていた様である。
私たちも数年前から、視覚障がい者が触覚による図形等の識別できるタッチパネルの利用を、あるメーカと共に取り組み、幾つかの視覚障がい者団体や大学でデモ等をしてきた。しかし、はっきりしたアプリケーションも見つからず、そのメーカも開発を断念することになってしまった。
今回の分科会でも取り上げた課題に「視覚障がい者が利用可能なタッチパネル」を上げているが、その利用方法では、触覚ディスプレイによる解決方法以外にも考えられるが、やはり、触覚ディスプレイによる解決は、大変シンプルで魅力的に感じる。
触覚ディスプレイをインターネットで調べると、国内だけでも幾つかの研究報告が見つかるが、商品化されているものは見つからず、高橋様の要望には、すぐに答えられそうもない。
機器のハード的なスイッチ機能とディスプレイとの組合せによるタッチパネルは、多様的な利用が可能、利便性と機器の開発コストや価格の低減も相まって、今後も、其の利用は、あらゆる機器に普及して行くが考えられる。
また、ハードスイッチの押したという感触は、音声・振動等で行うことで多少改善されてきている。
しかし、そのような技術革新の中で、視覚障がい者、シニアが「使いにくい、或いは使えない」と感じている事もあり、更なる改善も必要である。
さて、話をタブレット型の共遊玩具に戻すが、画面と何を触っているのかの識別の同期性が求められる。この様な要求を満たす商品の出現を待ち望んでおり、幾つかの企業との得意な分野での協業という事になると少し、誰でもが暮らしやすい世の中になる方向に進むことが出来ると思われる。
触覚ディスプレイに関する参考記事
1) 触覚ディスプレイ 梶本裕之**電気通信大学人間コミュニケーション学科,
2) 触感コンテンツの現状と課題 電気通信大学 梶本裕之
kajimoto@kaji-lab.jp
http://kaji-lab.jp
http://www.shitsukan.jp/tsudoi/event/img/kaji.pdf
3) 東京大学 新領域複雑理工/ 情報理工システム情報/ 工学部計数工学科
篠田・牧野 研究室 空中超音波触覚ディスプレイによる 空中ハプティクス
https://hapislab.org/airborne-ultrasound-tactile-display
静電触覚ディスプレイ東京大学
http://www.aml.t.u-tokyo.ac.jp/research/es_tactile2/es_tactile2_j.html
4) 電気刺激と静電吸着を組み合わせた複合触覚ディスプレイの官能評価
加藤邦拓1,2,a) 石塚裕己3,b) 梶本裕之4,c) 宮下芳明1,d)
http://www.interaction-ipsj.org/proceedings/2018/data/pdf/INT18003.pdf
5) 触覚ディスプレイの種類
http://www.a.tsukuba-tech.ac.jp/info/kenkyu/kaken/ds11.html
6) 2014年2月24日 富士通株式会社 株式会社富士通研究所 触感が得られるタッチパネルを搭載したタブレットを試作フラットな画面にリアリティのある感覚を実現
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2014/02/24.html
(寄本義一)